「君たちはどう生きるか」を観て、「正直ちょっと気持ち悪い…なぜそう感じたんだろう?」と戸惑ったのはあなただけではありません。
鳥の不気味な見た目や、生き物が無数に現れる演出、どこか生々しい描写に、違和感を覚えていませんか?
この記事では、「君たちはどう生きるか」が気持ち悪いと言われる理由を整理しました。
具体的にどの演出がそう感じさせるのか、そしてなぜ宮崎駿監督があえてその表現を選んだのかまで掘り下げていきます。
観たあとに残ったモヤモヤの正体を、少しだけ言葉にできる時間になれば嬉しいです。
君たちはどう生きるかが「気持ち悪い」と言われるのはなぜ?
特に、多くの視聴者が「気持ち悪い」と感じたのは次の3点でした。
- 作品に登場する鳥のキャラクター
- 無数の生き物が画面いっぱいに現れる演出
- グロテスクで生々しい描写

私は年間30〜40本ほど映画を観ていて、これまでに600本以上の作品に触れてきました。
しかし、「君たちはどう生きるか」を観たときは、正直なところ「これは今までのジブリとは違うな」と、少し戸惑いを感じました。
ワクワクというより、じわじわと違和感が残る。
そしてその違和感の正体が、「気持ち悪い」という感情に近かったんだと思います。
ここからは、なぜそう感じてしまうのか、3つの理由をひとつずつ見ていきましょう。
「君たちはどう生きるか」が気持ち悪いと言われる3つの理由
ここでは、「君たちはどう生きるか」のビジュアルや演出が気持ち悪いと言われる3つの理由を紹介します。
理由① 作品に登場する鳥のキャラクターが気持ち悪い
まず、多くの人が挙げているのが鳥のキャラクターです。
例えば、表紙にも描かれているあの鳥、よく見ると目が2か所にあるように見えます。
また、ほかの鳥も人間なのか鳥なのか分からない見た目をしていました。

私は映画を観るとき、登場人物の表情や動きに自然と目がいくタイプです。
だからこそ、鳥に関して「理解しよう」とする前に、違和感が先に立ってしまったのを覚えています。
これまでのジブリ作品にも擬人化されたキャラクターはたくさん登場してきましたよね。
でも、どこかファンタジーとして受け入れられる可愛さや温度感がありました。
一方で、「君たちはどう生きるか」の鳥は、そのどちらにも振り切れていない。
可愛いとも怖いとも言い切れない、中途半端な存在。
だからこそ、無意識に「なんだか分からなくて気持ち悪い」と感じてしまうのかもしれません。
公開当時、SNSでも「説明できないけど苦手」「感覚的に無理」という声が多かったのも、すごく納得できます。
理由② 無数の生き物が出てくる演出が気持ち悪い
次に挙げられるのが、鳥やカエルなどの生き物が、画面いっぱいに大量発生する演出です。
私自身、集合体恐怖症というほどではないですが、「同じものが大量に動いている映像」は、どうしてもゾワッとします。
映画館という逃げ場のない空間で、画面いっぱいにうごめく生き物たちを見せられると、視線を逸らしたくても逸らせない。

その没入感が、逆に不快さを強めてしまうんですよね。
一度見てしまうと、ふとしたときに思い出してしまう。
「夢に出てきそう」という感覚、かなり分かります。
これは作品が悪いというより、人間の脳が「危険かもしれない」と判断したときに起こる自然な反応だと思います。
理由③ グロテスクな表現が気持ち悪い

個人的に一番きつかったのが、このグロテスクな表現でした。
カエルが無数に現れ、主人公の体を這いずり回るシーン。
ほんの一瞬なのに、なぜか自分の体にその感覚が乗り移ったようで、思わず肩をすくめてしまいました。

私は感情移入しやすいタイプなので、「あ、これ無理かも」と体が先に反応してしまった感じです。
また、魚の解体シーンもかなりリアルに描かれています。
包丁が入って、バラバラになっていく様子が丁寧に映されていて、目を背けたくなるほど生々しい。
このあたりに関しては、「生理的に受け付けない」という意見に私も同意です。
「君たちはどう生きるか」に気持ち悪い演出を選んだのはなぜ?
では、なぜ宮崎駿監督は、あえてここまで「気持ち悪い」と感じられる演出を選んだのでしょうか。
インタビューを読む中で、私はとても腑に落ちた言葉がありました。
自分自身が実にうじうじとしていた人間だったから、少年っていうのは、もっと生臭い、いろんなものが渦巻いているのではないかという思いがずっとあった。僕らは葛藤の中で生きていくんだってこと、それをおおっぴらにしちゃおう。人に言えない恥ずかしいことも内面にいっぱい抱えている、そういう主人公を作ってみようと思った
引用元:好書好日
この言葉を読んだとき、
「ああ、だからこの作品は、こんなにも生々しいんだ」と感じました。

私は母子家庭で育ち、幼い頃から家族の表情や空気の変化に敏感でした。
そのせいか、人の中にある「きれいじゃない部分」にも自然と目が向いてしまいます。
人は誰でも、うじうじした気持ちや、言葉にできない葛藤を抱えています。
それを隠さず表に出した結果が、
この「気持ち悪い」と感じる演出だったのではないでしょうか。
また、これまでのジブリ作品をイメージして観た人ほど、
「思っていたのと違う」と感じると、嫌悪感を覚えやすいと言います。
脳が「これは危険かもしれない」「理解できない」と判断したとき、
人はそれを「気持ち悪い」と表現します。
だから、「君たちはどう生きるか」を気持ち悪いと感じたあなたの感覚は決して間違っていません。
ただその違和感には、
人間の生臭さや、人生の葛藤を真正面から描こうとした意図があった。
そう思うと、この作品の見え方も、少しだけ変わってくるかもしれません。
まとめ
「君たちはどう生きるか」が気持ち悪いと感じる理由は、ビジュアル・演出面が生理的な違和感を刺激するからでした。
そして、その違和感は偶然ではなく、
宮崎駿監督が描こうとした「人間の生臭さ」や「人生の葛藤」を、正面から表現した結果でもあります。
これまでのようなきれいで分かりやすい物語ではなく、人間のうじうじした内面まで含めて描いています。
だからこそ、観る人によっては「気持ち悪い」という感覚が残ったのでしょう。
この作品を観て違和感を覚えたあなたの感覚は、決して間違いではありません。
その感覚こそが、この映画が投げかけている問いに、ちゃんと向き合った証拠でもあると思います。
もしもう一度観る機会があれば、
「なぜそう感じたのか」を少しだけ意識しながら向き合ってみると、
この作品の見え方が、ほんの少し変わるかもしれません。


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