映画「君たちはどう生きるか」を観て、なんだか気持ち悪いと感じていませんか?
それはきっと、デジタルでは表現できない手描きならではのリアルさに、心が揺さぶられたからかもしれません。
宮崎駿監督のこだわりが詰まった本作では、インコの群れ、カエルのはい上がり、崩れゆく塔といった、強烈で直感的なシーンが印象的です。
本記事では、その生々しさの正体と、宮崎作品ならではの表現の背景を、3つのシーンを通して読み解いていきます。
「君たちはどう生きるか」が気持ち悪いのはなぜ?手描きアニメのリアルな表現に注目
映画「君たちはどう生きるか」が気持ち悪いと評価されるのは、表現が生々しいからだと私は思います。
どういうことかと言いますと、宮崎駿監督のアニメーションは手描き制作であることが有名です。
なぜ、宮崎駿監督が手描きにこだわるのかは不明です。
しかし、手描きだからこそ伝えられる表現があり、手描きだからこそより生々しさが伝わる。
結果として、その生々しさを伝えやすい言葉で表すと、「気持ち悪い」なのかなと思っています。
なぜ『君たちはどう生きるか』は気持ち悪い?印象的な3つのシーンとその意味
「君たちはどう生きるか」の中で、特に気持ち悪いと印象を抱いたのが、3つです。
- 空に羽ばたく沢山のインコ
- 主人公の体に、はい上がるカエルの群れ
- 崩れゆく塔の中の世界
宮崎駿監督の作品の特徴は、観客自らの思考に委ねること。
多くの人が映画の物語に合理性を求めるため、通常のフォーマットでは、物語の中で起きる事象は説明され、伏線は回収される。しかし宮崎作品では、「隙間」の判断を観客に委ね、考えさせる。
引用元:nippon.com
宮崎駿監督は伝えたいことはインタビューでも語っていますが、表現の理由については言っていません。
ですので、ここからは私が考察できるシーンの捉え方をご紹介します。
1.「君たちはどう生きるか」のインコはなぜ気持ち悪い?民主主義や人間社会の風刺が深い
「君たちはどう生きるか」の中で、インコは人間社会の矛盾、人の目をごまかしてだますといったことを表す存在です。
インコは群れで生活をします。
その群れで生活する様子から、民主主義国家が連想されます。
民主主義とは、重要な意思決定を大衆が行うという考え方です。
沢山のインコを描くことで、日本の国家や行き詰まった様子を表していると私は捉えています。
2.「君たちはどう生きるか」のカエルの意味とは?前向きさと成長を象徴
カエルは「君たちはどう生きるか」の中で、主人公の前向きな様子を表しているんじゃないかと思います。
カエルが前にしか跳べないのを知っていますか?
その様子から、前に進んで行く象徴として扱われることがあります。
また、カエルは土の中で生活しますよね。
土は、変わり目の象徴として使われることもあるんです。
そんな前向きで変わっていく様子から、体をはい上がるカエルは、主人公の成長を表しているんじゃないでしょうか。
3.「君たちはどう生きるか」塔の意味とは?破壊と再生を通じた主人公の成長を考察
塔を象徴するもの
- お墓
- 変化
- 突然の出来事
- 破壊的な出来事
主人公は母親を亡くし、新しい家族と暮らすようになります。
そんな中で新しい環境になじめません。
「君たちはどう生きるか」の中で、主人公の葛藤しながら成長する姿として、
自分自身を理解して精神的な成長をする、
現実と向き合って自分の生き方を探していく様子が描かれています。
「君たちはどう生きるか」はなぜ気持ち悪い?手描きアニメの生々しさを解説
「君たちはどう生きるか」が気持ち悪いと評価される理由に、手描きであることが含まれていると私は考えます。
『君たちはどう生きるか』には、いまなお表現への挑戦を続け、世界を引き付ける宮崎作品の魅力があふれている。「手描き」アニメーションの素晴らしさだ。
制作過程で描かれた絵のほとんどが、宮崎をはじめとする少数精鋭のアニメーターや美術スタッフが紙に鉛筆と絵具で描いたという。
引用元:nippon.com
デジタルが発展する中で、宮崎駿監督は手描きにこだわります。
どうして手描きなんでしょうか?
それは、手描きだからこそ生々しさが伝えられるからだと思っています。
人間の手で描くからこそ、
- 個性が出せる
- 感情が伝わりやすい
- 人間味が強調される
と、感じました。
またまた考察ですが、手描きであるがゆえに伝わってしまった生々しさの理由について紹介します。
なぜ「君たちはどう生きるか」が気持ち悪い?手描きアニメに現れる個性の理由
手描きで個性が出せる理由は、描いた人の筆跡やクセが出やすいからだと思っています。
文字でも、書いた人によって強さや書き方が違ったり、クセがあったりしますよね。
それと同じで、手描きだからこそ、デジタルと比べるとより個性的な表現ができるんじゃないかと感じました。
「君たちはどう生きるか」が感情に刺さる理由とは?手描きアニメが伝える“想いの強さ”を考察
感情が伝わりやすいと感じる理由は、手で描いているからです。
これはそのままの意味になります。
手で描いているからこそ、想いが強かったり、伝えたいことがあると力が入ったりしますよね。
また、あえて筆圧を強くしたり、文字を大きくしたりすると、視覚的にも伝えることができます。
そうした観点から、私はデジタルよりも感情が「君たちはどう生きるか」を見た人に伝わりやすいと思いました。
「君たちはどう生きるか」が人間味あふれる理由とは?手描きアニメににじむ作り手の“色”
手で描いたものは、人柄が出やすいと私は思っています。
なので、描いた人の「色」が反映されて、デジタルでは表現できない人間らしさが出てくる。
そういう人間らしい部分が前面に出てくると、人間味のある印象が与えられるんじゃないでしょうか。
『君たちはどう生きるか』が気持ち悪いと言われる理由は手描きアニメならではの生々しさにある
宮崎駿監督のこだわりが詰まった本作は、インコの群れやカエルの群がり、崩れゆく塔など、直感的で感情に訴える描写が多く登場します。
デジタルでは表現しきれない“手の跡”が残るからこそ、感情や個性、人間味がにじみ出る。
それが時に「気持ち悪い」と感じられるのではないかと考察します。
印象的な3つのシーンを通して、その意味と表現の背景を読み解きます。
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